唇から始まる、恋の予感

予想しない告白

私はとても色が白くて、子供の頃から身体の弱い子供に見られがちだった。だけど、身体は以外と丈夫で、風邪を引いても熱は出ないし、大きな病気もしない体力のある子供だった。
丈夫だと分かっているから自分の身体に気を使うことをしてこなかったけど、年齢を考えたら、そろそろ自身を労わらないといけないように思う。

(早く終わらせてご飯が食べたい)

ご飯のことで頭はいっぱいだったが、早く終わらせるために、さらにスピードを上げて資料を作った。

「出来た」

後はコピーをして終わりだといっていたはずだから、30分もあれば帰れる。
ふっと顔をあげると、居たはずの社員はすでにおらず、部長と私だけになっていた。
私が遅くなれば部長も遅くなってしまう。

「部長、資料作成が終わりましたので、コピーの前に確認をお願いします」
「わかった。遅くまで大変だったね、助かったよ、ありがとう。コピーは会議まえでいいから、資料だけ預かる」
「では、明日コピーのご指示をお願いします。私は帰らせていただきます」

予定よりも早く帰れる。もう家まで何も食べないではいられないから、どこかで残しているお弁当を食べよう。

「待って」

部長は私の腕をつかんで引き留めた。

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