唇から始まる、恋の予感
呼吸が早くなる前に、ここから離れないとまた部長に迷惑をかけることになる。
焦ると良くないし、ビニールもない。ゆっくりとそう、ゆっくりと気持ちを落ち着かせよう。
うつ向いて顔を上げなければ大丈夫だから。
必死で自分と戦っている時に、隣に座っていた部長が急に立ち上がった。
「白石、聞いて欲しいことがあるんだ。別に何か食べたくてここに誘ったわけじゃなくて……」
「はい」
急に改まってどうしたのだろう。なんだか私も居住まいを正してしまった。
「……白石が好きだ……アメリカに行く前からずっと」
「……」
びっくりすると、声が出ないって本当だ。聞いたことがある言葉だったけど、全く理解できなかった。
「白石が好きだ」
「……え……」
やっと何を言われたのか理解が出来た。
今迄で二回目の告白を受けている。一瞬で嫌な出来事が蘇ってきた。
「俺とつきあってくれないだろうか」
「なんで、私……」
「一度だけ見たことがある笑顔が忘れられないんだ。それだけじゃない、何か理由はわからないけど、白石の存在が俺を癒してくれているんだ」
笑顔。告白。存在。
あのときの告白。すべてはそこから始まった。
いじめが始まったきっかけは、私がいじめの中心人物の子が好きだった男子に告白されたことだった。
「えくぼがかわいい」
それから好きになったと言った。私は笑うとえくぼが出来て密かにチャームポイントだと思っていた。
もちろん男子のことは好きでもなかったから「友達以上に思えない」と返事をしたら、お前が断るなんて生意気だと、その男子を好きなくせに、断った私に怒りを向けた。その子を今でも理解が出来ないけど、いじめが始まった原因だった。
えくぼはペンでつつかれたりしたこともあった。また別に、口角があがるところが「ジョーカーだ」と言われ、私の似顔絵をジョーカーのように描かれ、私を題材にした学級新聞を作られた。
焦ると良くないし、ビニールもない。ゆっくりとそう、ゆっくりと気持ちを落ち着かせよう。
うつ向いて顔を上げなければ大丈夫だから。
必死で自分と戦っている時に、隣に座っていた部長が急に立ち上がった。
「白石、聞いて欲しいことがあるんだ。別に何か食べたくてここに誘ったわけじゃなくて……」
「はい」
急に改まってどうしたのだろう。なんだか私も居住まいを正してしまった。
「……白石が好きだ……アメリカに行く前からずっと」
「……」
びっくりすると、声が出ないって本当だ。聞いたことがある言葉だったけど、全く理解できなかった。
「白石が好きだ」
「……え……」
やっと何を言われたのか理解が出来た。
今迄で二回目の告白を受けている。一瞬で嫌な出来事が蘇ってきた。
「俺とつきあってくれないだろうか」
「なんで、私……」
「一度だけ見たことがある笑顔が忘れられないんだ。それだけじゃない、何か理由はわからないけど、白石の存在が俺を癒してくれているんだ」
笑顔。告白。存在。
あのときの告白。すべてはそこから始まった。
いじめが始まったきっかけは、私がいじめの中心人物の子が好きだった男子に告白されたことだった。
「えくぼがかわいい」
それから好きになったと言った。私は笑うとえくぼが出来て密かにチャームポイントだと思っていた。
もちろん男子のことは好きでもなかったから「友達以上に思えない」と返事をしたら、お前が断るなんて生意気だと、その男子を好きなくせに、断った私に怒りを向けた。その子を今でも理解が出来ないけど、いじめが始まった原因だった。
えくぼはペンでつつかれたりしたこともあった。また別に、口角があがるところが「ジョーカーだ」と言われ、私の似顔絵をジョーカーのように描かれ、私を題材にした学級新聞を作られた。