唇から始まる、恋の予感
「で、何処をどのように整形するつもりなのかしら」
「目は少し小さめにして、鼻はすっと高くして……そうすれば鼻の穴も綺麗な形になりますし。唇は薄くしてもらいます」
「他は?」
「本当は顔の形を変えたり、まだ何か変えれる所があるんじゃないかと思っているんですが、それはゆっくり考えてもいいかなと思っています」
「……一つだけ、一つだけ教えてもらいたいことがあるんだけど、それは白石さんの傷を開いてしまうかもしれないけど、いいかしら?」
なんだか怖いけど、植草先生は医者だから少しだけなら話せそう。
「……どうぞ」
「目はどうして変えたいの?」
「私の目は大きく二重でまつ毛が長いんです。デメキンと言われて、まつ毛は毛虫が乗っていると言われました。確かにデメキンで見っともないですよね。えくぼはクレーターみたいですし」
まつ毛が長くて、自然なカールでいいじゃないと母親や親戚に言われていたけど、それはあばたもえくぼで、醜かったんだといじめで知った。
「……分かったわ。また気が向いたら来てね。待ってるわ」
「はい」
昼の短い時間だったけど、心が少し軽くなったような気がした。もしかして私の中にあった膿のようなものが、話すことで吐き出せたからなのかもしれない。プライベートなことを他人と話したのはいつ以来だろう。もうそれも分からないけれど、ほんの少しの時間でも、誰かと話せるのはいいと思うようになっていた。
「目は少し小さめにして、鼻はすっと高くして……そうすれば鼻の穴も綺麗な形になりますし。唇は薄くしてもらいます」
「他は?」
「本当は顔の形を変えたり、まだ何か変えれる所があるんじゃないかと思っているんですが、それはゆっくり考えてもいいかなと思っています」
「……一つだけ、一つだけ教えてもらいたいことがあるんだけど、それは白石さんの傷を開いてしまうかもしれないけど、いいかしら?」
なんだか怖いけど、植草先生は医者だから少しだけなら話せそう。
「……どうぞ」
「目はどうして変えたいの?」
「私の目は大きく二重でまつ毛が長いんです。デメキンと言われて、まつ毛は毛虫が乗っていると言われました。確かにデメキンで見っともないですよね。えくぼはクレーターみたいですし」
まつ毛が長くて、自然なカールでいいじゃないと母親や親戚に言われていたけど、それはあばたもえくぼで、醜かったんだといじめで知った。
「……分かったわ。また気が向いたら来てね。待ってるわ」
「はい」
昼の短い時間だったけど、心が少し軽くなったような気がした。もしかして私の中にあった膿のようなものが、話すことで吐き出せたからなのかもしれない。プライベートなことを他人と話したのはいつ以来だろう。もうそれも分からないけれど、ほんの少しの時間でも、誰かと話せるのはいいと思うようになっていた。