約束してね。恋をするって
 陽介がそれ以上話す気がなさそうだと見て、皐月はそれ以上の追及をあきらめた。あまりしつこく聞いて、逆になぜ気になるのかと問われても困る。


「今日も行くの?」

「ああ。雲が出ないといいんだけどなあ」

「ここ最近はずいぶん頻繁に観測に出てるのね。なにか気にかかるイベントでもあるの?」

 皐月に聞かれて、あらためて陽介は自分がほぼ毎日あの公園に行っていることに気づいた。


「そうでもないけど」

「あ、わかった。望遠鏡買ったからでしょ? ねえ、私にも見せてよ。一緒にいってもいい?」

 皐月が陽介の肩にもたれるようにのしかかる。陽介はファイルを眺めながら言った。

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