「みんなで幸せになると良いよ。」
啓くんの小さな左頬がみるみるうちに赤くなる。
振り切った右手は宙で静止している。


『いい加減にして!お母さんを困らせて楽しいの!?あんたなんか、あんたなんか…』


「ちょっと、何してんねん!」


突然すぎて驚いた。親が子供叱るのに手を上げることは仕方ない。
躾(しつけ)だから。

だけど、母親は突然ぶった。
さっきまでの表情はなく、憎いものを睨みつけるような目で我が子を見た。
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