「みんなで幸せになると良いよ。」
「佐紀ちゃん、今すぐは無理やけど、いつか結婚しよ。だから、ここに居て。」

この親子は意地悪だ。
泣くのを分かっているのに。


とまらなくなるのに。


ママが買ってくれたイマドキのTシャツが濡れていく。


『…ぃ、居て、いいんですか…?迷惑しか…かけてないのに…。私…なんて…』


2階だての一軒家から、

ボロボロの借家から声が溢れ出た。



パン!



軽く頭のてっぺんを叩かれた。



「御飯できたから食べよう。…私の長女の…佐紀。」


「泣くなって!!大丈夫なんとかなるから。ねっ、未来のお嫁さんの佐紀!」


2人の似たもの親子が笑ってる。
新しい家族の長女は畳の上で『私以上に幸せなひとは居ないのかもしれない。』とか思っていた。



小さな家族の幸せだったときの話。
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