「みんなで幸せになると良いよ。」

3.終わりのはじまりを待つ部屋で

その日の夜、家についたのは8時過ぎだった。
毎週観てるドラマは録画予約していたけどまだ作動してなかった。
小一時間webを徘徊してみたけど、興味のあるものが少なすぎる僕は30分ともたず飽きていた。

検索エンジンに「海」という単語があった。調べたいこともないのにクリックしていた。
ディスプレイに映し出されたのは確かに海だったけど、夕暮れどきの画像で僕はつい2時間くらい前の光景を思い出してた。


ヒイラギは何してるんやろ?


もう家について食事でもしてるんかな??


一人暮らし同士で遊んだのに晩御飯も食べずに別れた。

勿論、誘った。
誘ったけど「今日はやめとく」と断られた。

いつもなら理由を尋ねただろうし、多少強引でも店に入っただろう。

だけど、今日は後ろめたい気持ちがこれ以上強引に彼女のなかに入り込む気にはさせなかった。
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