「みんなで幸せになると良いよ。」
いきった男はさっきまでの威勢はなく、

砂に腰から落ちた。

遺書の方だけ男の腹に落として走り去る。

「う、うわぁ!人死んどる!…ひぃ、人殺しぃーーっ!!」

日焼け男は裏がえった声で叫ぶ。

バレーコートを横断すると、

「キャーッ!」と水着の女が避ける。

駅員の居ない改札を通り、

急行に飛び乗る。




浜ではこちらを指差すひとや、座り込む女、

忙しく走り回る男が見えた。

電車は何も知らずに椿の家の方角に向かう。




握りしめた切符にも血がついていて、

親指を擦るように拭き取った。

西へ向かう電車の中で。
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