「みんなで幸せになると良いよ。」

2.紺色のハンカチ

「くそ、くそっ!」

声を殺して、電車の椅子に腰かけた僕は顔の前で両手を組んで祈るように、顔一杯を濡らしていた。

数えるほどの乗客は僕を迷惑そうに見ている。


「何泣いとんねん。気持ち悪い。」

「危ないやつ乗ってる。」

「はやく降りてくれ。」


そんな声が聞こえたような気がする。

この空間から抜け出したくてうつむいた。

膝に2回軽く叩く感覚がする。

充血した目は一人のおばぁちゃんを見つめた。



「…なに?」
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