「みんなで幸せになると良いよ。」

5.ヒイラギという女

サークル活動に参加する女、ヒイラギ。

椿が雲なら、ヒイラギは水。

気まぐれに流れる雲に、水路通り流れる水。

今思えばそんな対称なふたりだった。

ヒイラギをはじめてみたとき、言葉と周りの色と音、時間経過の感覚、そのすべてを忘れさせた。

大学の構内で椿と待ち合わせたエントランス。彼女は無表情で僕の前を通り過ぎた。
身長が高くすらっとしていて、椿より美しいフォルム、

短く黒い髪に整髪量の感じはせず、生命力みたいな力強さを感じさせる目。

強くて、深くて、真っ直ぐ。

そんな感じがして目を離せなかった。
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