小児科医が甘え下手な看護師に愛を教えました
二人で車に乗った。

「家どのへん?」

「…えっと…」

「あっ、ごめん。急に住所教えるとか怖いよね。近くの駅とか、コンビニの場所教えてもらえる?」

俺は立花と関わることが少しずつ増えてきて彼女の性格がわかってきた気がする。

彼女は、人を信じること、相手の気持ちを受け止めることが少し苦手な部分がある。

そして、何より繊細。

誰よりも相手の心の変化に気付く。そして、相手の立場になって物事を考えるのがうまい。

だから、子どもたちとのコミニュケーションや偏見なく見れるから悠くんみたいな子たちにも好かれる。

「あ、住所でいいです。松崎先生なら安心できる。なんかそんな感じがするので」

「そう?」
おっ、俺の好感度上がった?と思っていた自分が馬鹿だった。

「うちの兄みたいで」
その言葉を聞いて心のなかでは盛大にスベったような擬音が流れた。

兄、…兄ね。男として意識すらされてなかった。
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