小児科医が甘え下手な看護師に愛を教えました

人を頼る

松崎さんの家で泣きじゃくってしまって、今車で送ってもらっている。
すっかり日は落ちて、街灯の明かりが目立っている。

「よし、着いた。おつかれ」

「ほんとに色々ありがとうございました」

松崎さんは、少し俯いてから私の顔を、目をまっすぐみた。

「…明日、もし立ち上がれなかったら、生きることに前を向くのが辛かったら、俺を頼って。連絡して」

流石にそれは…
「できません…」

「立花。頼ることは迷惑をかけることじゃない。逆に俺は立花が一人で抱え込むほうが辛い。それに、頼ることは弱いことでもない。頼られる方は嬉しいんだよ。だから、頼ることを覚えなさい。ね?」

なぜだろう。なぜこの人は私が欲しい言葉がわかるの?

スッとこころの何かが晴れていくような感じがする。

「…はい」

「うん。じゃあ、そうと分かれば家に帰って寝るのみ!おやすみ」

「おやすみなさい」

頭を撫でて、優しく微笑んで彼は去っていった。

少し冷えてきた季節に私の心は春のような優しい温かさが残った。
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