神様、俺は妻が心配でならんのです
病室に待機してくれている子供達の中に、夫の姿を思わず探してしまうたび、私は悲しみが込み上げるのだ。
末の息子は、父親に見舞いを提案したと言っていた。
けれど彼のことだから、会いには来られないだろう。
なぜか私は、そんな気がした。最初で最後に愛した人だから、彼のことはよく知っている。
(あの人が会いに来られないのなら――私が、あの人に会いに行きたい)
私は、何度目かも分からない『苦しい』の中でもがきながら、そう思った。
(けれど私は、この身体で、いったいどうしようというのだろう?)
せめて、彼の夢の中へでも、会いにゆければいいのにと思った。
もし、彼と今でも、一緒に暮らしていたのなら。
私は苦しくて勝手に溢れてくる涙の中、あの人はきちんと食べているのかしら、子供達から連絡を受けて心配に思っていないかしら、平気かしら――なんてことが、たくさん、頭の中に沸き起こった。
『――』
そうしたら、誰かが、私の名前を呼んだ。
とてもよく知っているようで、知らない複数の温かな〝音〟。
私は毎朝捧げている祈りの言葉を、思った。
ああ、神様、守護神様、守護霊様、どうか夫に――。
※
末の息子は、父親に見舞いを提案したと言っていた。
けれど彼のことだから、会いには来られないだろう。
なぜか私は、そんな気がした。最初で最後に愛した人だから、彼のことはよく知っている。
(あの人が会いに来られないのなら――私が、あの人に会いに行きたい)
私は、何度目かも分からない『苦しい』の中でもがきながら、そう思った。
(けれど私は、この身体で、いったいどうしようというのだろう?)
せめて、彼の夢の中へでも、会いにゆければいいのにと思った。
もし、彼と今でも、一緒に暮らしていたのなら。
私は苦しくて勝手に溢れてくる涙の中、あの人はきちんと食べているのかしら、子供達から連絡を受けて心配に思っていないかしら、平気かしら――なんてことが、たくさん、頭の中に沸き起こった。
『――』
そうしたら、誰かが、私の名前を呼んだ。
とてもよく知っているようで、知らない複数の温かな〝音〟。
私は毎朝捧げている祈りの言葉を、思った。
ああ、神様、守護神様、守護霊様、どうか夫に――。
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