神様、俺は妻が心配でならんのです
 その日、仲村渠は中部にある大病院の前で、一人そわそわと待っていた。

 共に心配していた友人の城間も、妻の見舞いを望んでおり、絶対に置いていくなよと再三強く言われたのだ。

 城間は、学生時代の仲村渠の先輩である。

 今回の件に関しては、元医師として手助けをしてくれたこともあり、いくら昔から時間にルーズな男であることを知っていても、仲村渠は『一緒に行くから、待ってろ!』という約束は拒めなかった。

 実をいうと、仲村渠も、一人を心細く感じてもいた。

 大病院の玄関前にある、駐車場へと行ける歩道の中腹に立ち尽くしたまま、仲村渠は時々首をあちらこちらへと向けて、城間の姿を探した。

 待ち合わせの時間からは、すでに十五分が過ぎている。
「ふぅ……」

 緊張を息で吐き出しながら視線を上げると、頭上には雲が多い青空があった。

 例の現象が解決したあと、仲村渠は、城間と以前擦れ違ってしまった喫茶店でようやく顔を合わせることができた。
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