神様、俺は妻が心配でならんのです
 スマホをチェックすると、いつものメールが一件入っていた。

『変化なし』

 メールを開くと、そんな報告が一文だけ書かれている。

 スマホの機能をなかなか使いこなせないでいる古い友人には、申し訳ないが、彼が教え子に頼んでまでこちらに伝えてくれる情報には、今の仲村渠にはとても有り難いものだった。

 彼は感謝の気持ちを胸に、付き合いの長いその友人にメールを返信した。

『ありがとう』

 すると、しばらくもしないうちに返信がきた。

『どう、てことない』

 友人にはスマホの小さい『っ』の入力方法については教えたことがあったはずだ、まだまだ不慣れで、使い勝手が悪いらしい。

(ふうむ。パソコンの方がよかったかなぁ)

 互いに、仕事でも使いこなしている部分ではある。しかしスマホの方が、歩きながらでも連絡が取り合える便利な連絡手段だったのだ。

 仲村渠は、ここ数日まったく同じスケジュールであることを考えながら、今日もできるだけのことを調べる努力をした。パソコンに向かうと、時間と睨み合いながら、関連性のありそうなキーワードで検索を行い、素早く読み進めていく。
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