神様、俺は妻が心配でならんのです
 よく、分からないというのが本音だ。

 仲村渠はしばらく悩んだのち、この書き込みを行ったミチに対してこう返事を書いた。

『一言に幽霊といっても、様々だろう……とは、思う』

 そう、たぶん、様々なのだ。

 なぜならこの家にはすでに幽霊がいるのだが、誰もが普通に接し、幽霊であることに気付いていないのだから。

             二

 ここ一週間、仲村渠が気付いたことといえば、外を出歩いても、現在の二人を知る人間には不思議と出会わないということだった。

 たとえば、付き合いのある近所の住人や、いきつけの喫茶店の店主や従業員。朝に犬の散歩をしている元PTA会長の城間婦人、散髪屋の主人もここ一週間は顔を見ていない。

 それについては、仲村渠の中でどうにか推測ができ始めているところだ。

 妻と自分との間には、年代にも少々誤差が生じてしまっている。

 恐らくは今の妻が知らない知人や、最新情報を持っている友人には会わない、いや〝会えないようにされている〟のか。
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