神様、俺は妻が心配でならんのです
 不思議な現象ではあるが、周りが勝手にそうなるのだから、仲村渠はそう推測するに落ち着くしかない。

 たとえば、新聞や雑誌などの場合だと発行年月が消えていたり、古くなっていたはずの結婚指輪が綺麗なままだったり。妻の身体にあったはずの傷跡や、彼が患っている腰痛が今は消えていて――と、上げればきりがない。

 だから妻にとって、今の時間は、仲村渠が知っている〝現在〟とは、使用商ズレが発生しているのだ。

(いったい、どういうことなんだろうなぁ……)

 今のところ、スマホやインターネットには影響がないらしい。

 いや、よくある心霊現象とは違うのだから、それはそうかと仲村渠は思ったものなのだが。

 しかし的確な回答を得ようと思っても、どんなキーワードを打ち込めば欲しい回答が出てくのか。

 そもそもどう説明をすればよいのか分からないので、最新の文明機器があるというのに、もどかしい思いを抱いているところだった。口下手な仲村渠は、原因不明の現象を前に頭を抱えている。
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