神様、俺は妻が心配でならんのです
 できる限り、情報を集めるための、手助けを求める努力は行ったつもりだ。

 仲村渠はまず、一番目の息子に連絡を入れてみた。

 十年振りに連絡をした彼の長男は、電話を取るなり「あんた、まだ生きてたのか」と驚いたが、すぐに罵倒と別れを告げて電話を切ってしまった。その後は電話をかけても取ってくれない状況だった。

 長男がああなのだから、二番目の息子もきっと同じだろう。

 仲村渠は、自分の子に手伝わせるため助けを求めることに、躊躇した。

 末の娘に関しては気が引けた。彼女は兄弟の中でも優しい子であるし、信心深く、親孝行な娘であることに現在も変わりはない。

 それに、一番目の息子に連絡を取った際に、しっかりも釘を刺されている。

『妹に連絡をしてみろ。殺すぞ』

 そんなことは分かっている。娘は母のことも人一倍思ってくれている子だ。余計な心配をかけてしまっては、元も子もないだろう。

 というわけで仲村渠は、身内は無理だと早々に悟り、続いて自分で調べた場所に電話を掛けてみることにした。

 だが、見当違いの相談所だったり、調べて欲しいと頼むと不審がられて慌てて電話を切られたり、やはり上手く説明できず自分から電話切ってしまったり……とにかく、散々だった。慣れないことはするものではない。

 けれどそう思うと、そう言った連絡も妻が引き受けていたのだとは、よく分かった。

 そして仲村渠は、ようやく一人の友人に連絡がつき、メールにて協力を得られていた。
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