神様、俺は妻が心配でならんのです
 これから夏が来るのだなあと、暑い日差しに熱気が込み上げる車外を見やりつつ、運転中に二人で話しをした。

 西海岸の海は、エメラルドやサファイヤ、濃い青の色に澄んで美しかった。

 水面に映った日差しはキラキラと輝き、まるで夜空から落ちた流れ星の欠片が、太陽の日差しを受けて燦々と謳っているかのようだった。

 妻は海が見えている間、窓からずっとそちらを眺め続けていた。

「綺麗ねえ」

 何度もそう言って、彼女は微笑んでいた。

 二人は、まず恩納村で小さな工芸店に立ち寄った。

 琉球ガラスでストラップが作れるという、国道沿いにある小さな店だ。

 ガラス玉に自分なりの色を施し、最後に紐で編んで、ストラップにする。

 そのガラス玉が仕上がるまでには一時間半ほどかかるというので、仲村渠は妻と、あとでまた立ち寄ると告げて次の場所を目指した。

 そして仲村渠は、少し進んだ先に佇む『占いの館』へと車を入れた。

 ――カラァン、キィン。

 店内に入った際、ガラス扉の上で来店を告げる涼やかな音がしていた。
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