神様、俺は妻が心配でならんのです
「さあこれからですよ!」

 彼は、こちらが花を噛んだことも気付いていなさそうだ。

 不意打ちのような奇声の声かけに驚いた仲村渠は、「ぐぅ」と溜息をこえ、嫌々ながら顔をそちらへと戻す。

 すると、テーブルの向かいでは、巫女服を着た中肉中背の中年男が、訳の分からない奇妙なポーズで――仲村渠の記憶が正しいとするならば、恐らくこれは今の若い子に人気のある、沖縄発祥のヒーロー物の決めポーズだったような気がする――深く頷いてみせる。

(おいコラ、今のうなずきはなんだ? 全然以心伝心もしとらんからな)

 まるで『何もかもお見通しですよ! 任せてください!』といわんばかりの顔だが、仲村渠は、実に苛立ちを覚えた。

(俺とお前は、お互いのことを何一つ理解し合っちゃいねぇぞ、絶対になっ)

 などと思う仲村渠など、置いてけぼりで目の前のユタは続ける。

「心配ご無用! 私は、中部の女子高生にも信頼の高いユタですからね! インキチ臭い他の偽者共と違って、初診料を含めて三千円であなたを救ってみせますよ」
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