神様、俺は妻が心配でならんのです
 入ってみるとそこには様々な石が並んだ棚と、大きな水晶や天然石が展示されたショーケースがあった。そして、それらで作られたブレスレットやピアス、ネックレスやストラップが妻の目を楽しませていた。

 店内には、三人の若い女性客がいた。

 彼女達はどうやら観光客ではないようで、話す言葉には沖縄訛りがあった。

 三人は一度だけ仲村渠達の方を見やったが、とくに気にとめず、ショーケースに並んだ石と作られているブレスレットを見て、その効用が記載された紙を食い入るように眺めつつ熱心に話し合っていた。

 店内の正面にあるレジカウンターには、これまた若い女が座っていた。

 彼女は四十代ほどで、愛想良く店内の客の様子を見つめていた。天然物だろうと思われるウェーブかかった髪をしていて、肌は、県外の人間を思わせる白だった。

「予約をしていた仲村渠ですが」

 仲村渠がレジカウンターにいた女性にそう声をかけると、彼女はニッコリと笑い、愛想浴頷く。

「ナカンダカリ様ですね」
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