神様、俺は妻が心配でならんのです
 そして彼女は、レジカウンターの横にあった部屋に彼と妻を案内した。

 占いや相談ごと専用に使用されているらしいその部屋には、黒い遮光カーテンが引かれていた。

 二畳もない狭い室内だった。そこには、案内してくれた女性と、まったく同じ顔をした女が表情なく座っていて仲村渠は密かに驚く。

(双子なのか)

 とはいえ、瓜二つなのはその姿見ばかりのようだ。

 占う方の女は、鋭い眼差しをしており、唇はあまり社交的ではないように思えるほどきつく結ばれていた。

「それでは、私はこれで」

 案内してくれた女性は、愛想のいい会釈を一つして、早々に部屋を出ていった。

 室内には仲村渠と妻、そして丸いテーブル席にいる女だけが残された。

 その占い師は、怪しい格好はしておらず、清楚な白いシャツとスラックスのズボンを履いておいた。細い腕には水晶と黒い数珠が二つ並んでいる。

「初めまして。占い師の『リカ』です。どうぞ、おかけになってください」

 女は話しながらも、鋭い眼差しで仲村渠を見つめていた。
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