神様、俺は妻が心配でならんのです
「描かれているのは同じなんですよね?」
「はい。アルカナも、カップも、ワンドもすべて同じ――イラストを描かれている方が違います。別のカードも使うのは、カードの意味がどういったことを示すのか、補助をいただくためです。必要になったら、このカード、さに必要になったら、こちらのカードからも詳細をいただきます」

 まさしく、補助、だったみたいだ。

 仲村渠は占い事にはさつぱりだったので、妻と共に彼女の手元を眺めているしかない。

 彼女は霊能といった特別な力はないと言ったが、それはテレビで騒がれているような特別なパワーのことだ。

 噂によると、彼女にも少し霊視の力があるそうだ。

 仲村渠起こったことについては電話越しでも詳細を述べていない状況だった。それでもなんとなく引っ掛かりを覚えた鋭い視線から、占い師が妻から何かを感じ取ったのではないか、とこの短いやりとりの中で僅かな期待を覚えていた。

 彼女はカードを用意する。しかし、ふと、それを眺めて数秒ほど黙り込んだ。微かに彼女の眉が潜められていく。

「……難しそうですね。こういうパターンは、初めてです」

 仲村渠は、ドキッとした。

「な、何か、分かったのですか?」
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