神様、俺は妻が心配でならんのです
「いえ、やれるだけのことはやってみましょう。あなたは私にお電話で、そう頼られ、いらしてくださった」
「はい、そうです。妻を視てやって欲しいのです」

 彼が素早く告げると、大きなタロットカードを手に取った占い師の女が、奇妙な物を見るような顔をした。

「助けを必要としているのは、あなたの方でしょう」

 ああ、やはり彼女は本物だ。

 仲村渠はそう思いながら、唇をぐっと噛み、そして首を左右に振って見せた。

「私にもこの奇妙な出来事を、なんと説明していいのか分からないのです。今、起こっていること、そしてそれに対して私はどうしたらいいのか、あまりにも先が見えなさすぎる……だから、そのためのアドバイスが欲しいのです」

 彼女は「占わせてください」とカードにそっと告げ、それから、何かカードから返事があったみたいに手を動かし始めた。

「先に申し上げておきますが、私には、あなた達を助けるだけの力はありません」

 女は両方の目を閉じ、残念そうに吐息交じりに言った。

「この手の問題に関しては、目に見えないことを扱う人の助けも要ると思われます。とはいえ、探すことも、大変難しいとは存じます」
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