神様、俺は妻が心配でならんのです
「……なるほど」

 占い師の声が、ふと耳に触れた。

「何か、分かったことでも……?」

 目線を戻してみると、占い師はテーブルの上にいくつか開かれたタロットカードの絵を、じーっと見つめている。

「悪霊や、そういった現象によるものではないようです。あなた方のどちらも、大きな守り手によって、強く守護されていると占いには出ています」

 占い師の女は、消化不良のような顔を仲村渠に向けた。

「そう、ですか……」
「霊的な世界から言えば悪い現象ではないにしても、あなた方にとって困ったことが起こっているのは確かですよね。そこに関しては私の占いに何も出ませんでしたが、あなた方は強く守護されていると占いに出ていますので、もしかしたら、私にそれ以上のことを知る術がない、という可能性もあります」
「知る術……? つまり、占えない、ということですか?」
「はい。ですから、とても難しい相手だったのです」

 あ、だから『難しいと』と仲村渠は思う。
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