神様、俺は妻が心配でならんのです
「占い師は、占う相手の守護霊の力、または持ち合わせている相手の霊力が、自身の力を上回ってしまっている場合は〝視えない〟んですよ。ガードされてしまって、覗き見ることができない、と言いますか」
「なるほど……」
「そうすると、すべてを占ってやることが出来ないのです」

 占えない?

 そんな馬鹿なことあるかと苛立ちそうになったが、ふと、昔どこかで、似たような話を耳にしたことを仲村渠は思い出した。

『霊力が強いから、正しく占うことができないらしいのよ――』

 そう昔、有名な霊能力者の生い立ちについて、年配の女達がママ会のごとく立ち話をしていた気がする。

 その時は興味も湧かなかったが、そういった難しい事情もある……のかもしれないと、仲村渠は思った。

(そもそもここで俺が苛立っても、どうしようもないだろう)

 仲村渠は考え直した。もし、占い師が言うように自分達が守護霊に強く守られているというのなら、せっかく巡り合えた本物の占い師の前だ。前回のように、何も、収穫がないまま終わることにはならないはずだ。そう、自分に言い聞かせた。

(ああ、神様、彼女のご先祖様。どうか私達をお導きください――)

 仲村渠は、らしくもなく祈った。
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