神様、俺は妻が心配でならんのです
「…………何か、アドバイスは出ていますか? 少しの手掛かりでもいいのです」

 深呼吸をしたのち、目を上げると、占い師が切実そうな目でじっとこちらを見ていた。

「そうですね……」

 女は考え、いくつかのカードを捲った。それから考えを告げる。

「キーワードは北にある、と思います。運気は南にあるようです。しかし……それ以上は、何も」

 ということは、仲村渠が『北へ向かおう』と思った直感は、間違っていなかったということだ。

 それはなんとなく、彼の胸に何となしに沸き上がった思いだった。

 他にも、二人のユタのもとを訪れる予定を入れていた。

 何かしら進展はあるだろう。そう仲村渠は期待した。

「お力になれず、申し訳ありませんでした」

 占い師は、席を立つ仲村渠に向かって申し訳なさそうに頭を下げた。

「いえっ、そんなことはありません。少し、すっきりできました」
「そうおっしゃっていただけて有難いです」

 女は、初めの印象と違って小さくしおらしく見えた。あの厳しく見えた眼差しは、もしかしたら何かを〝視よう〟としていたのではないか?と、仲村渠は思えた。
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