神様、俺は妻が心配でならんのです
「いったい何が分かったというんだね? そもそもこのアンケート用紙に、私と妻について少し書いただけじゃないか」

 仲村渠は、生年月日と出身地を書き記した紙を指先で叩いた。

 面談が始まった際、ユタは数分それを眺めて「二黒土星ですね、なるほど」と言って頷いていたものの、仲村渠は『それが?』と疑念たっぷりに思ったものだ。

 そもそも目の前の男が、その言葉の意味を理解しているのかも甚だ疑わしい。

(いや、俺のそんな無神論な感情は、どうでもいいのか)

 再びイライラしてきた仲村渠は、心を落ち着けるように隣をこっそりと見た。

 隣の座布団には、自分よりも二十も若い妻が正座している。彼女はやはりきちんと理解していない様子で、にこにこと楽しげにユタの男を見つめていた。

 先程、ユタが彼女を見ただけで『事情は分かりました』と言ったものだから、仲村渠は少し信用してしまったのだが、……どうやら見当違いだったようだ。

「はぁ……」

 彼は、すっかり冷えた目の前のカップの茶に溜息を落とす。
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