神様、俺は妻が心配でならんのです
「信じる者は、救われるということか?」
「そうですね……少し違う力があるだけで、私の姉は、幼い頃から悩まされてきました。でも、沖縄の南部で、ある人に出会った時、自分と向きあうことの大切さに気付かされたんです。神様が授けてくれた読みとる力には、きっと意味があるから。だから私達は、信じて未来を歩み続けているんです」

 彼女は外まで二人を案内し、律儀に見送った。妻が窓から顔を出し、手を振って応えた。彼女は小さな店が遠くなるまで見送り、風で波打つやや白髪交じりの髪を右手で押さえていた。

 車を再び北へと走らせながら、仲村渠は左手にはめたブレスレットに柄もなく祈った。

 お前が守りの石だというのなら、どうか妻を守ってください、と――。

(今の無力な俺の代わりに、どうか妻を助けてください)

 誰か、と仲村渠はすがる思いでハンドルを掴む手に力を込める。

             三

 名護にある二十一世紀未来公園をすぎてすぐ、美味しいミニパイを売っている店があったので寄り道した。
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