神様、俺は妻が心配でならんのです
 そして店を後にすると、再び車を走らせた。

 仲村渠は名護市街に車を進め、二人のユタと会ったが、期待できるような収穫は何もなかった。アンケート用紙に名前と生年月日を記入したのち、なぜか見当違いのアドバイスを延々と聞かされることになる。

「今の悩みは先祖から来ているから、きちんと先祖供養なさい。希望があればお祓いをするし、儀式で寺を回る費用はかかるが――」

 一人目のユタには、よくある『先祖供養をしないと』と言われた。

 二人目も――まぁ、同じだ。

「過去の亡霊が、あなた達の生活をいつか脅かすかもしれません!」
「はぁ、先祖供養ですね」
「そうです! よく分かっていらっしゃる! 信心深いと見ました! あなたには、今、髪の力が必要なのです!」
「はぁ、妻ではなく、私が……」
「見て分かります、これほど顔色が悪いとは可哀想に!」
「あ?」
「ちなみに過去の亡霊を含め、こちらで毎月、偉大な先生の有り難いお話を聞く機会がありますので、是非会員になっていただいて――」

 つまり、すべてアテが外れたのだ。
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