神様、俺は妻が心配でならんのです
 煙草は嗜むが、酒は飲まない男だった。最近は会う機会がなかったのだが、仲村渠にとっては少ない友人のうちの一人だった。

 城間に連絡を取ると、ちょうどその病院に教え子がいるということで、妻の様子を教えてもらえる運びとなった。

 個人情報の保護というのがあるから、城間が教え子に経過を聞き出して、仲村渠に報告してくれるという流れだ。

 一日、一日が、仲村渠に重々しく圧し掛かった。

 妻は大丈夫だろうかと、毎朝、城間から報告を受けつつも心配で仕方がなかった。

 妻の容体は安定しているが、もう、ほとんど寝て過ごしているらしい。免疫力が下がっているから外出も禁じられており、いつも家族の者が入れ替わり立ち替わり、彼女に会いに来ているのだとか。

(残されている時間があるのなら、――俺も、会いに行ってはいけないだろうか)

 仲村渠は、そう思った。けれど、

(息子達が俺を相当嫌っているように、俺のせいで妻が、辛い結婚生活を強いられていたとするなら……)
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