神様、俺は妻が心配でならんのです
(何か、大変なことが起こっている)

 仲村渠はそう思ったが、城間は彼の話を聞いてもピンと来なかったらしい。

『とりあえず、会おう。会って、その現象を確認すべきだよ』

 城間がそう提案し、二人は近くの茶店で落ち合うことにした。

 だが、仲村渠がいくら待っても城間は現れなかった。痺れを切らして電話を掛けると、もう到着していると城間は言った。

『どの席だ?』
『F席だよ』
『は……』

 その時、仲村渠もF席に一人で座っていたのだ。

 どうやら、訳がわからない現象は、自分の身にも起こっているらしいと、この時になって仲村渠は気付く。

 試しに、自分の足で妻の病院を訪ねようと足を運んでもみた。

 しかし病院らしき建物さえ、発見することができなかった。

『と、とすると、詰ま輪連れても行けないってことか……俺は幽霊になっちまったのか?』
「落ち着け、パニックになったらだめだ。何か、確かめる術を探すんだ。幽霊との電話なんて聞いたことがないぞ。俺は、今、こうしてお前と喋っているんだから、お前が生きているのは確かだろう」
< 89 / 120 >

この作品をシェア

pagetop