神様、俺は妻が心配でならんのです
 友人と電話越しで話し合い、まずは仲村渠が先に会計を済ませて外に出た。

 その後、城間がレジに向かい、会計をしながら店員の女性に尋ねる。その際の会話は、仲村渠はスマホ越しに聞いていた。

『さっき、仏頂面の年寄り染みた男が来なかったですかね。右手にスマホを持っていて、突拍子もなく自己紹介をして帰っていったと思うんですが……』
『ああ、いらっしゃいましたね。つい、さっきのお客様だと思います。ナカンダカリだ、と言い残して去っていかれましたから』
『どこ席に座っていたのか、覚えていますか?』
『どちらだったかしら。私が珈琲の注文を取ったのですけれど……ごめんなさい、覚えていないみたい』

 電話は通じるが、結局は面と向かって会えないことだけは分かった。何度試しても無駄だった。

 電話が通じるだけまだマシだと、友人は困ったように笑っていた。

『原因は分からないが、ユタに相談した方がいいんじゃないかな。私は詳しい訳ではないがね、たとえばお前の奥さんが、魂が身体から離れて実体化しているとしたら、危うい気がするんだよ』
『確かに……』
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