学生寮
戻ってくると、リョウさんの姿が見えなかった。


キョロキョロ探していると、後ろから頭にポンと手を乗せられた。


「ここだよ」

「どこ行っちゃったかと思いましたよ」

「買えた?」

「はい!」

「じゃ、行こうか」


一緒に駅へ向かった。


「あ、そうだ、リョウさんの用事はもう済んだの?」


ばったり会って、買い物につき合わせ、リョウさんが何の用事で街に来たのか聞いていなかった。


リョウさんは肩にかけていた大きめのバッグをたたき、

「ああ、もう欲しかった本は買ったから」

と答えた。

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