学生寮
「ふーん」


リョウさんは、頬杖をついてじーっと私を見ていた。


さらさらの髪の間から覗く、涼しげな眼差し。


きれいに整った顔に見つめられ、私はもうケーキの味も紅茶の香りもわからなくなった。


とにかく早くこの場を立ち去りたい一心で、大急ぎで食べ、飲んだ。


「ごちそうさま!」




カフェを出てほっとしていると、リョウさんが話しかけてきた。


「そういえば、あれからクラスメートの彼はどうしてる?」


げっ、まだ、続くんですか?


っていうか、覚えてたんだ、裕子が言ったカケルのこと。


あれって、もう3ヶ月も前の話だよね。


リョウさん、記憶力よすぎ……

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