学生寮
「全部。
おまえのセリフも全部な」


リョウさんは、それを聞くと頭を抱えた。


「じゃ、俺はこれで」


タカさんは、リョウさんが不機嫌の度合いを増していくのを察して、逃げていった。


えー、ずるいよ、タカさん。

この不機嫌なリョウさんを、私一人でどうしろと?


「みのり、俺のセリフって?」


こめかみに手を当ててうつむいたままのリョウさんに聞かれ、観念して私は正直に答えた。


「えーと、『ミナミは誰とでも寝る』とか『おまえが誘ってみれば』ってカンジさんに言ったとか」


「…………」


リョウさんが黙っているので、私は思いきって聞いてみた。

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