学生寮
私とカケルの言い合いは毎度のことなので、裕子はニヤニヤ笑うばかりで口は挟んでこない。


カケルはようやく諦めたようで、ふーっと小さくため息をついた。


「しゃあねーな。
じゃ、またな」


しぶしぶ仲間達の方へ戻っていった。




それを機に、私と裕子は店を出て、隣の駅まで続く並木通りをぶらぶらとウィンドウショッピングしながら歩くことにした。


「みのり、はっきりしてるよね。
カケルが気の毒なくらいだよ」


カケルは友達だし、裕子と一緒になら一度くらいライブを見に行ってもいいかとも思うけど、カケルがまだ私に未練があるうちは行けない。


多少でも期待を持たせるようなことはしたくなかった。


「あいつは友達だけど、それ以上には思えないんだから、しょーがないじゃん」


「まあね。
……ね、もしかして金村さんのこと、まだ尾を引いてる?」


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