学生寮
高速を降りて小高い丘を登り、展望台へ。

展望台からは、180度のパノラマを見渡せた。


海と空。


眼下には崖に打ちつせる波しぶき。


海水浴でよく行く砂浜の海とは違う、冬の荒々しい波。


海の青が深い。


空がどこまでも果てしない……



「ここから、岩場まで下りられるみたいだな、行ってみよーぜ」

カンジさんの声が聞こえた。

カンジさんと裕子とリョウさんは、展望台横の階段を下りていったようだ。



でも私は、展望台を動けなかった。


目の前の海と空に、魂を囚われ、動くことができなくなっていた。

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