学生寮
「リョウさん、私、もっと大きくなりたい。

もっと強くなりたい。

教科書には載れないと思うけど、でも、私がこの地球に産まれて生きたんだって証を何らかの形で残せるように、

精一杯、私にしかできない、私の人生を生きたいよ」


リョウさんはしばらく無言だった。


無言で海を見つめていた。


言いたいことを言い終えた私は気分が落ち着いてきて、そうすると、なんだか無性に恥ずかしくなってきた。

泣いて興奮して、支離滅裂だったよね、私。


「あ、あの、リョウさん。
訳わかんないこと言ったよね、私。
ごめん……」


しかし、リョウさんは私を見てとても優しく微笑んだ。


「俺は、山だったよ」

< 134 / 233 >

この作品をシェア

pagetop