学生寮
同じ。


海と山の違いはあっても、リョウさんも同じことを感じたときがあったなんて。


嬉しかった。


「大丈夫。みのりはきっと、素敵な人生を自分で切り開くことができるよ。
俺はそう思う」


じっと目を見てリョウさんにそう言われ、なんだか心の底から力がわいてくる感じがした。


「うん、頑張る」


何をどう頑張るのか、具体的にはまだわからなかったけれど、心からそう思った。


なにかひとつ、吹っ切れた気がした。


するとリョウさんの腕が伸びてきて、私は抱きしめられた。


ああ、リョウさんの匂いだ。


いつかかいだコロンの香り。

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