学生寮
リョウさんは私の体を離し、手だけを握って私に背を向けた。


え?

リョウさん?

私、今告白しようとしたんだけど、聞こえなかった?


リョウさんは黙って私の手を引き、カンジさんと裕子がいる、岩場まで下りはじめた。


不審に思ったけれど、何も言えなくて私は黙ってついていった。


リョウさんは下につくまで、ずっと手をつないでくれていた。


下におりると、カンジさんが、岩場の陰に隠れる小さなカニをはしゃぎながら追いかけていた。


裕子は、そんなカンジさんを笑いながら見ていた。


私とリョウさんもその仲間に入り、しばらく遊んでから帰った。

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