学生寮
「うん、今一番のお気に入りなんだ」


莉絵ちゃんの笑顔、ほんとにかわいい。


見ているこっちまで笑顔になる。


裕子と莉絵ちゃんは話が弾んできた。


「えー、すごい。
この旅館もすごく豪華で、リョウさんの叔父さんってお金持ち!ってビックリしたんだけど、ひょっとして、莉絵ちゃんのおうちもお金持ちなの?」

「えー、別にそんなことないと思うけどー」


そう言いながら髪の毛をかきあげた莉絵ちゃんの手を、裕子が指差した。


「あ、この腕時計もじゃん!
うわっ、莉絵ちゃんち絶対お金持ちだわ。
うらやまし~」


その腕時計はなんだかキラキラまぶしく光っていて、ブランドにうとい私が見ても高そうな物だった。


「ひょっとしてダイヤ?」

私が驚いて聞くと、

「もちろん」

とあっさり返されてしまった。


『もちろん』、なんだ……

なんか、庶民の私とは住む世界が違うかも……



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