学生寮
「それに、このあいだ海に行った時も、みのり、なかなか展望台から岩場に下りてこなかったじゃん。

リョウさんと2人っきりで何してんのかなあって気になってたんだけど、邪魔しちゃ悪いし、

そのうち下りて来るだろうって思ってたらリョウさんに手を引かれてくるからさ、てっきりつきあうことになったのかと思ったんだけど。

でも、その後もみのり何も言わないから、これはまだコクってないなって思ってたわけよ」


「そうなんだ…」


さすが裕子だ。よく見ている。
やっぱり裕子に隠しごとなんてできない。


「まあ、その時点では、私もリョウさんかっこいいし、優しそうだし、みのりの恋が実ればいいなって思ってたんだけどさ、

今日の態度見て、幻滅。

あんなシスコン、やめときな。

自分の妹があんな非常識なことしてるのに叱れないって、どうなの?

私の弟がもし今日の莉絵ちゃんみたいなことしたら、私は絶対叱るし相手に謝るよ」


「うん……」

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