学生寮
裕子の規則正しい寝息が聞こえ始めてからも、私は寝付けなかった。


リョウさんと莉絵ちゃん。

莉絵ちゃんを甘やかすリョウさんは、莉絵ちゃんを妹としてではなく、女の子として好きなのかな。


裕子の言ったことが頭から離れない。

異母兄妹の禁断の恋……


そういえば前にカンジさんが、リョウさんは大学で告白されても誰とも付き合わないって言ってた。

もし、莉絵ちゃんが好きなのなら、それも納得できる。

私に優しくしてくれたのも、離れている莉絵ちゃんの代わりだったのかも。

恋人であるリョウさんが私に優しくしていたと知って、莉絵ちゃんは嫉妬したのかな。

お兄ちゃんじゃなくて恋人なら、嫉妬して当然だよね。


今頃、一つの部屋で一緒に寝てるんだよね、リョウさんと莉絵ちゃん……

一体何して……

そこまで考えて私はブンブンと首を振った。

やだもう、何考えてんのよ!

そんなことあるわけない!

でも……もしかして……


あーあ……

抱きしめられたり、プレゼントもらったりして、一人で浮かれてた私ってバカみたい。


私は裕子に気づかれないように、あふれてきた涙をそっとぬぐった。





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