学生寮
カンジさんかと思い、今裕子から聞いたことを伝えようとドアを開けると、そこにいたのはリョウさんだった。


「みのり、ちょっといい?」


思いがけずリョウさんが現れて私は動揺した。

裕子がさっき怒ってたけど、私もリョウさんにもどかしい思いを抱いていたからだ。

裕子がリョウさんに『ねえ、そうでしょ、リョウさん』と問いかけたとき、返事をしなかったリョウさんに、私も少し失望した。

なんでそこまで莉絵ちゃんをかばうのかと悔しかった。

でも、当のリョウさんを前にしてしまうと、私にはそれを言う勇気がなかった。


「どうぞ」


リョウさんを部屋に招き入れた。

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