学生寮
最後にリョウさんと私が入っていった。


まさか鍾乳洞にくるとは思っていなかった私は、底がつるつるの靴を履いてきてしまっていた。


転びそうになっていると、リョウさんが手を引いてくれた。


海に行ったときと同じだ。


あの時もそうだったけど、男の人と手をつなぐことに慣れていない私はそれだけでドキドキした。


私が歩くのが遅いせいで、先に行った3人の姿はすぐに見えなくなってしまった。


「ゆっくりでいいよ」


リョウさんは優しく声をかけてくれる。


リョウさんに腹を立ててたのは誰だったっけ?


もう午前中の不快な気持ちはすっかりどこかに消えていた。


また、リョウさんの笑顔に見とれてしまう私に戻っていた。

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