学生寮
「大丈夫?」


なんだかいつもと違う声に私はドキドキして声が出せなくなり、ただ、ウンとうなずいた。


顔のすぐそばで、しかもいつもより一段と優しい声で囁かれ、金縛りにあったように体が動かない。


リョウさんは、私を抱く手をより強めて、私をしっかり抱き寄せ、私の耳元に顔を近づけた。


「みのり、昨日から本当にごめん。
莉絵に振り回されて、本当に大事なものを見失うところだった」


リョウさん?


何?


本当に大事なものって?

< 196 / 233 >

この作品をシェア

pagetop