学生寮
リョウさんを見上げると、優しく微笑んでくれた。


幸せって、こういうことかなあ、なんて思った。


「明日、空いてる?
約束果たせなかっただろ?」


そうだった。


デートの約束。


両親に誘拐されるようにホテルに連れて行かれ、果たせていなかった。


「うん、大丈夫」

「じゃあ、10時に駅の改札で待ち合わせしよう」

「うん!」


ほとんど同じ屋根の下に住んでいるのに、駅で待ち合わせなんてデートっぽくて嬉しくなる。


私はリョウさんにおやすみを言うと、2階に上がった。

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