学生寮
すると、リョウさんが腕を伸ばして私の肩を抱き寄せ、タカさんから遠ざけた。


「タカはみのりをいじめすぎ」


あれ、リョウさんまで呼び捨てになっちゃった。


でもちょっと嬉しいかも。


「俺は褒めてんだよ、可愛いって」


私はジュースだけど、3人はお酒が入って酔いが回ってきているみたい。


新しい缶ビールを開けながら、カンジさんが聞いてきた。


「みのりちゃんの親御さんって、海外赴任してるんだよね?」


「はい、父の転勤でシンガポールに」


「そっか、商社マン?
かっこいいなあ」


「たしかに商社には勤めてますけど、かっこよくはないですよ」


そう答えると、今度はタカさんが私の頭に手を置いていった。


「一人で寂しいだろ。
いつでもあっためてやるから、寂しくなったら俺の部屋に来いよ」


「ハイハイ」

< 30 / 233 >

この作品をシェア

pagetop