学生寮
私にけん制するようなこと言ってたし。


あれ、きっとわざと聞こえるように言ったんだと思う。


前にカンジさんも、リョウさんモテるって言ってたし。


下を向いて考え込みながら歩いていたら、いきなり手を引かれて驚いた。


顔を上げると、リョウさんが私の左手をつかみ、笑っている。


「電柱とキスするつもり?」


「へ?」


前を見ていなかったから、危うく電柱にぶつかるところだったらしい。


恥ずかしい~


「すいません……」


「危なっかしいな」


そう笑って、リョウさんはお店に着くまで私の手を引いて歩いてくれた。


え、うわっ、どうしよう。


嬉しいかも。


恥ずかしいところを見られちゃったけど、リョウさんと手をつなげたからいいや。


< 41 / 233 >

この作品をシェア

pagetop